mono   image
 Back

「ユンっ、お仕事、頑張って!」

午前三時

 ユンが言うのも何だが、ロゼという人はとても可愛らしい人物だと思う。それが妻への贔屓目だと言われてしまえばそれまででも、ユンは胸を張って、うちの家内は誰より愛らしい、と断言できた。
 その、最たるものが今の状況なんだろう、と彼は何時の間にか己に跨って黄色いポンポンをふわふわ振る妻を眺める。
「ロゼ、今日は随分、積極的だな」
 揶揄するように言って、大胆に胸を跨ぐ太股にするりと手を這わせれば、途端、頬に朱に染めて腰を振る愛しの妻。おまけのようにぎしぎしと嬌声を上げる褥がなんとも言い難い熱を煽って仕方がない。
「んっ…だって、アンタ…今日も仕事だろ?だから…サービス、だ…っひゃぅっ」
「サービス、か」
 そのまま悩ましく腰をくねらせて濡れ踊ってくれるのか、と囁きながら明確な意図を持った手つきで揺らめく腰を撫で、楽しげに笑うユンの茜色が白い肌を淡く染めたロゼの姿を緩やかな速度で辿る。
 いつもの彼からは想像もつかない露出の高さだ。袖のない薄い衣は濃い桃色。同じ色のスカートは膝上十五センチ程で切られ、細かくひだが入っている。その裾から伸びるすらりとした脚。ニーソックスに、きゅ、と締められて歪んだ太股を撫でて揉み、歪ませ、淡い影を作ってやれば、切ない吐息を零した胸が服の上から判る程に胸の木の実をしこり立たせた。つん、と張った布が柔らかく実を潰している感触すら耐え難い快楽なのだろう。身動ぎする度に、もっと、はやく、と男の欲を育てる舌足らずな声音が濡れた唇から零れ落ちる。今は見えない短いスカートの中も下着をびしょ濡れにさせた愛らしいミルク菓子が震えながら強い刺激を待っているに違いない。
 息を上げるロゼの双眸が色欲の涙に濡れて光る様を見るユンの口元が、平時の穏やかなそれとは遠くかけ離れた笑みを刻む。
 不意に胸に昇った手にきゅううと乳首を抓まれ、思わず甘い声を高く上げて背を反らしながら振る手の動きに併せて揺れる黄色いポンポン。――――その姿は所謂、チアリーダー。
「……今日は仕事、なんだが」
 こんな可愛い格好で応援されては致し方ない。
 可愛らしくもいやらしい仕草に違う所を元気にしたユンがするりとスカートの中に手を差し入れ、

「はっ!?」

起きた。
「…ゆ、夢、か?」
 やけに現実味を帯びた夢だった気もするが、さて、どうだったか。
 物凄く良い所だった、と少しばかり悔やんだ所で、隣で健やかな寝息を立てるロゼを目に留めたユンは顎に手を当てて考え込み――――直後、愛しい妻に覆い被さった。
「っ!?なっ、ユン!?アンタ、何して…ひぁっ!」
 服を暴き、敏感な素肌を這う褐色の手。ちらり、一瞥した時計は午前三時。
 夫の突然の猛獣化に目を丸くして――顔まで真っ赤にして――飛び起きた奥方に、彼はこう言った。
「誘ったお前が悪い」

 午前三時十五分。それは夢から覚めた旦那様が奥方にチアリーダーコスをさせて褥に連れ込んだ時間。


趣味すぎる…!!(自覚済み)
いや、もう、書いてる間、楽しくて仕方なかったんですけれどもね!!!ふははは!
ユンロゼはもうえっちなご夫婦でいいんじゃないかと思っております よ !
ユン大好きなロゼならチアリーダーコスだろうが、婦警さんコスだろうが、女子高生コスだろうが、アンミラコスだろうがなんだろうが、旦那様に跨ってご奉仕という名の応援してくれるって信じてる(真顔)
ぽんぽん振りながら、頑張ってもっと突き上げてっ、って言ってくれるって信じてる…!!(駄目だコイツ!)
あと、全裸にニーソは外せません。


※男主の名前はセンカで固定しています。

「失礼します」

午前零時

「お、おい…?」
 突然、入室してきたセンカにリンドウは目を見開いてソファから立ち上がった。
 呆然と立ち尽くす男の前を横切る銀色が自発的にこの部屋に来る事など無い。それどころか、意外にぴしりと整えられた褥に近付く事などそれこそ天地がひっくり返っても有り得ない事だけに、情けなく口を開けたリンドウは咥えた煙草をぽろりと落とした。思わず目をやった時計は午後十一時五十三分。立派な大人の時間帯だ。
 煙の軌跡を描いて落ちた煙草が、しゅ、とカーペットに焦げ目を付けて転がる頃には、褥に乗り上がった銀色がシーツを乱し、徐に脱いだブーツを床に放り、ついには大きめのズボンを腰で止めるベルトに手をかけ――――そこで漸く男が身を乗り出した。
「おいおいおいおい!?こらこらこらこら!!」
 そんなけしからん事をするんじゃありません!口にしながら少しばかり得をしていると生唾を飲んでいる自分が恨めしい。止めるつもりなど毛頭無い己の手は宙に浮いたままだ。
 するり。腰から滑り落ちる黒色の下衣。大きめの上衣に隠された腰が見られないのは残念だが、裾からすらりと伸びた細く白い脚が眩しい光を帯びて目を惹く。する、と足首から衣を抜いて、今度は靴下を脱ごうと手を伸ばせば、必然、少し開き気味になる脚の間が気になって仕方が無い。シャツの裾によって絶妙に隠されたそこが秘めた場所を頼り無く守るようで…直にでも剥ぎ取ってしまいたいと思ってしまうのは男なら仕方の無い事だろう。
 浅ましく鳴る喉が酷く渇く。視線は一枚、また一枚と男の寝床で布を落としていく銀に向けたまま。床には既にジャケットが落ちている。残るは下着と、白い肌を薄く透かすシャツのみ。時間は午後十一時五十九分。
 褥の上で動く度にふるると揺れる柔らかそうな太股はむしゃぶり付いたならどんな色に染まるのだろう。嗚呼、それに触れているシーツが酷く憎らしくて堪らない。
 薄いシャツのボタンを一つ、二つ、三つ開けて四つん這いになったセンカの、つい、と上がった小さな尻が淫らに揺れる。くびれた腰の線を白い指が辿り、忍び入るのは薄布の下。衣の上からでも分かる仕草で下着を引っ掛け、ゆっくり、下へ動けば、肌を滑って落ちたそれが煙草の匂いが染み付いたシーツに影を落とした。
 ごくり。喉が鳴る。
 下着の端を控えめに摘んだ白魚の指先が殊更、緩やかに脚から抜いたそれを床に落とし――――かちん。午前零時。
「せんぱい…きて…?」
 頬を染め、乱したシーツの上で手を伸ばす、白いシャツ一枚の想い人。ここまでされて据え膳食わぬは男の恥。
 抑えきれない欲に負けた男は吐息にさえ熱を持たせて手を伸ばし…

 ずるっ。ごちん。

「いてぇ!!」

落ちた。ひっくり返った視界には扇情的な姿のセンカではなく、味気ない自室の天井が見える。
 次いで認識する、床に落ちた衝撃で痛む後頭部と褥の縁に引っ掛かった情け無い己の脚。どうやら、勢い余って寂しい独り寝の褥からずり落ちたらしい。零れたのは重い溜め息だ。
「……夢かよ…」
 非常に良い夢だった。あの続きまで、否、寧ろ、最後まで至っていればもっと良い夢だった。まあ、あれが現実に起こると思っている程、自分の恋路を楽観視している訳ではないけれど。それでも、もう少しくらい良い夢を見たっていいだろうに。
 独りごちて己の下半身に目をやったリンドウは再び天井を仰ぎ、少しばかり途方に暮れた。
「おいおい…俺はいくつのガキだ…」

 午前零時〇四分。それは未だ圧倒的な片思いの男が火照った身体を引き摺って浴室の扉を閉めた時間。


どこまでも不憫な当家のリンドウさん。据え膳夢オチだってデフォルトです(酷)
実は、今回、一番楽しかったのがこれだったりします。会話文は三本中一番少ないんですが、その分、脱衣に力を入れているのが丸わかりという変態度の高い一品。
後悔は無い!!凄く楽しかったから!!(ぇええ)毎回毎回、脱衣系は大好きですよ!!マナケミアでも一番初めのネタは脱衣系でしたからね!もう、当家では恒例です(…)
ちなみに夜中に浴室に籠ったリンドウさんは夢の続きを妄想しながら前屈みですよ(もう黙れよ…)


※男主の名前はセンカで固定しています。

「ソーマ先輩は…僕の事、嫌いですか?」

午後四時

 控えめに落とされた核爆弾にソーマの手から飲料の缶が滑り落ちる。それはそれは大きな音を立てて床と仲良しになったその缶は恰も彼自身の動揺を体現するかのようだ。――――曰く、衝撃的。
 烏羽センカという人間は間違っても淡く頬を染めながら、もじもじと落ち着き無く膝を刷り合わせて他人の顔色を伺うような人種ではない。寧ろ、顔色など伺わずに堂々と不思議発言を連発してこちらの胸の内を落ち着かなくさせていく方だとソーマは認識している。
 それが、どうだ。これは、何だ。白い肌を頬から首筋、大きめの上着の袖からちょこりと出た指先までそっと染めて、上目遣いで見上げてくるセンカ。その印象的な白藍の双眸までもが潤む様は、まるで青い緑柱石が煌くようだ。ぷるぷるとした唇は艶かしい果物の色。少し開いたそこから小さな舌が吐息の熱にしっとりと濡れて見え隠れしている。
 落とした缶の中身を飲み損ねたソーマの、渇いた喉が飲み込むのは口に溜まった唾液。人がそれを生唾と呼ぶ事を、混乱した頭で艶めいた光景を眺める青年は知らなかった。
「先輩…僕、」
 熱に浮かされているのか、舌足らずな調子で言葉を紡ごうと喘ぐ唇にどうしても目がいく。
「…僕…」
 待て。待て。待て。待て。
「ずっと、先輩の事が…」

「待て、言うな!!」

 ぺちんっ。
「ふぁふっ?」
「……………………あ?」
 がばりと身を起こし、手を伸ばしてセンカの唇を塞いだつもりのソーマは目の前の光景が夢か現か、暫し、判断しかねて瞬いた。
 目の前にセンカがいる。それは夢と変わらない。違うのは、彼の頬が全く染まっていない事と瞳が恋しげに潤んでいない事だ。今の彼の目はぱっちりと開かれ、驚いた様子で突然、飛び起きて口を塞いできたソーマを眺めている。ぱちぱち、ぱちり。大きく開かれた瞳が零れ落ちそうだ、とぼんやり思う。
 大きな褐色の手を唇に押し付けられて戸惑っているのだろう。小首を傾げている彼を見て、ソーマは漸く思い至った。
「…あれは……夢…か…?」
 未だに疑問系なのは覚醒した時の状況があまりに夢の続きに似ているからだ。良い夢なのか、悪い夢なのか、判断に迷う所だが、まあ、悪い夢では、無かったと思う。多分。
 ゆっくりと手を放し、その手で己の口元を覆って息をついた彼の耳に、今は少しばかり心臓に悪いセンカの声が滑り込む。
「…何か、お飲み物をお持ちしますか?」
「ああ、悪い」
 水で良い、と答えた声に、わかりました、と返して自販機に向かう彼がどんな夢だったのかと問いかけてこなかったのが救いだ。あんな夢を語れる訳が無い。
 そう思い、掌を己の唇に押し付けたソーマは、その手が今し方、センカの柔らかな唇に触れていたのだと今更ながらに気付いて、軽く身を固めた。――――思い出すのは恰もマシュマロのような弾力と柔らかさ。艶やかな肌。しっとりと濡れた吐息。

 午後四時十一分。それは後輩に密かな想いを抱いていた青年が思わず顔を真っ赤にして硬直してしまった時間。


今作中、最も純情健全だったのがこちら。当家では初・まさかのソーマさん。
純情ソーマさんはリンドウ隊長のようなやらしい妄想はもうちょっと症状が進んでからだと思うので(ぇ)、今はこの程度です。それも純情すぎて自分から途中でシャットアウト。それがソーマさんクオリティ。
その分、覚醒してから美味しい思いしてますけどね!!唇タッチで間接キスはある意味、上級技です。

2011/01/27